「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」ってどんな病気?
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS:オーサス)とは、睡眠中に呼吸が止まる、または浅く・弱くなることにより日常生活にさまざまな障害を引き起こす疾患です。
一般的にOSASの重症度はAHI (Apnea Hypopnea Index) 無呼吸低呼吸指数で表します。AHIとは1時間に10秒以上の無呼吸・ 低呼吸 (呼吸が浅く・弱くなる状態)が発生する回数を示すものです。 AHIが5回以上認められ、日中の眠気などの症状がある場合に、AHI15回以上では症状がなくてもOSASと診断されます。OSASの病態の多くは睡眠時、空気の通り道(気道)がふさがる、または狭くなることによって起こる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下OSAS)」です。
OSASの主な原因
いびきをかくということは?
いびきは、睡眠中に空気の通り道 咽喉(のど)が狭くなり、そこを空気が通る時に、のどの壁が振動することによって生じる音です。つまりいびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠といえます。
なぜ気道が狭くなるのか...?
健常人でも仰向けで寝ると、重力により舌や軟口蓋が落ち込み、気道が狭くなります。睡眠時は、のどの周囲の筋肉の緊張もゆるみがちになります。
■気道がふさがったり、狭くなる原因
① 筋力の低下 (加齢)
② 舌が重い (肥満)
③ 顎が後退している、扁桃肥大がある、 軟口蓋が長い (形態的問題)
④ 口呼吸(舌が落ち込みやすくなる)
OSASの主な症状
夜間の症状
① いびきがうるさい
② 呼吸が止まっている
③ 寝汗をかく
④ 寝相が悪い
⑤ 何度もトイレに起きるなど
OSASには、無呼吸の間いびきが止まり、あえぐような 激しい呼吸や大きないびきとともに呼吸が再開するという特徴があります。あえぐような呼吸をするため、寝汗をかいたり寝相が悪くなります。 また、夜中に何度もトイレに起きるなどの症状があります。
昼間の症状
① 倦怠感や頭が重い
呼吸が止まっている間は、酸素欠乏状態にあるため起床時に頭の重さを感じることがあります。体を休めるための睡眠で酸素欠乏状態になるので、全身の倦怠感や不眠につながります。
② 日中の眠気
OSASは、無呼吸状態から呼吸を再開するたびに脳が覚醒するため睡眠が分断されます。本人に目が覚めた 自覚はないのですが、深い睡眠が得られておらず、 きちんと睡眠をとったつもりなのに実は睡眠はこま切れ 状態に陥っているのです。
自己診断チェック
あなたは、どれくらい眠気を自覚していますか?
以下の8つの質問に対して「眠気の状況」を参考に、当てはまるものをチェックし、その数字の合計を出してみてください。あなたの眠気の状況がチェックできます。
- 0:眠ってしまうことはない
- 1:時に眠ってしまう
- 2:しばしば眠ってしまう
- 3:ほとんど眠ってしまう
質 問 | 回 答 | |
---|---|---|
1 | 座って何かを読んでる時(新聞・雑誌・本・書類など) | 0・1・2・3 |
2 | 座ってテレビを見ている時 | 0・1・2・3 |
3 | 会議、映画館、劇場などで静かに座っている時 | 0・1・2・3 |
4 | 乗客として1時間以上続けて自動車に乗っている時 | 0・1・2・3 |
5 | 午後横になって、休息をとっている時 | 0・1・2・3 |
6 | 座って人と話している時 | 0・1・2・3 |
7 | 朝食をとった後(飲食なし)、静かに座っている時 | 0・1・2・3 |
8 | 座って手紙や書類などを書いている時 | 0・1・2・3 |
合計が13点以上あると、眠気の自覚症状があるといわれています。点数が高ければ高い程、眠気の自覚が強く、何かしらの睡眠障害の疑いが高くなります。
点数の高い方や、症状が気になる方は
まず、自宅でできる「簡易検査」をおすすめします
診察の流れ
担当医師の診察・問診
簡易検査(SAS検査)のお申し込み(健康保険が適応されます)
- 検査業者と日程を調整します。
-
指定日にご来院いただき、機器の使用方法をお伝えします。
(来院が難しい方は直接ご自宅へ検査業者がお伺いすることもできます) - 1〜2晩、検査キットをつけて就寝
- 検査終了後、検査キットをご自宅から宅急便で返却します。
簡易検査の結果をご説明いたします。
症状に合わせて検査・治療を受けていただきます。
無呼吸症候群
無呼吸症候群
検査・治療について
簡易検査
簡易検査はご自宅で行う検査です
指先センサと呼吸センサをつけて血液中の酸素と呼吸の検査をご自宅で行います。
評価内容
- 無呼吸による酸素の低下状態
- 無呼吸低呼吸指数(AHI)
ポリソムノグラフィー (PSG検査)
PSG検査は入院して行う検査です
PSG検査は睡眠の検査では、もっとも精密な検査方法になります。さまざまなセンサを装着する必要があるため専門の検査施設などに入院して行います。
評価内容
- 無呼吸による酸素の低下状態
- 無呼吸低呼吸指数(AHI)
- 睡眠の質
- 不整脈の有無
- 他睡眠障害の有無
CPAP(持続陽圧呼吸療法) 装置による治療
CPAP(シーパップ) 療法(持続陽圧呼吸療法)はCPAP装置からホース、マスクを介して処方された空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにします。この療法を適切に行うことで睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、OSAS による症状の改善が期待されます。CPAPは治療効果が高い治療法です。 CPAP療法は検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応になります。
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)の効果
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、熟眠感が得られ目覚めもすっきりします。 治療を続けることによって、眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといったOSAS症状の改善が期待されます。またCPAP療法による降圧(血圧を下げる) 効果の報告もあります。視力矯正のためにメガネを使い続けるように、CPAP療法も治療器を使用しなければ無呼吸は無くならず効果はありません。継続して使い続けることが重要です。はじめてお使いになる方は、治療器に慣れるまでに 2~3ヶ月かかる場合があります。 OSASの患者さんの心・血管系疾患による死亡率は2.2倍と高く、CPAP治療により一般の人と同じになります。
会津西病院
TEL.0242-56-2233